戸建てに24時間換気は必要?換気しながら快適に暮らす方法とは

ハウスメーカーや工務店のモデルハウスを見学するとき、見聞きしやすいキーワードの一つが「24時間換気」です。
最近は新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあって“換気”が注目を集めていますが、そもそも住宅における24時間換気とはどのようなものなのか、気になる方も多いのではないでしょうか。
今回は24時間換気の概要を踏まえつつ、その必要性や種類、換気しながら快適に暮らす方法について解説します。
新築するときに必要?戸建ての24時間換気とは

24時間換気とは、簡潔に説明すれば「室内を1日中換気して、常に空気の入れ替えが行なわれる仕組み」のことです。
2003年の建築基準法改正により、すべての建築物で24時間換気システムの設置が義務化されました。
換気回数の基準も設けられており、住宅なら「1時間あたり0.5回以上」が必要条件となっています。
これは1時間換気したとき、室内の空気の半分以上が入れ替わる計算です。
24時間換気が義務化された背景には、近年の住宅における“高気密化”が深く関連しています。
高気密化によって住宅の快適性は高まりましたが、一方で建材に使われる化学物質やダニ・ホコリなどの影響を受けやすくなりました。
それにともない、頭痛・めまい・喉の痛み・湿疹など引き起こす「シックハウス症候群」という体調不良が懸念され、その予防対策として24時間換気が導入されたのです。
24時間換気によって建材の化学物質やハウスダストの充満を防げるので、快適かつ健康的な暮らしを実現できるようになります。
一軒家における24時間換気システムの種類
住宅の種類を問わず、24時間換気システムは設置が義務付けられています。
大きく分けると3種類ありますが、それぞれ給排気の仕組みやメリット・デメリットが異なるため、基礎知識としてきちんと押さえておきましょう。
●第1種換気

第1種換気とは、給気口・排気口どちらにも換気扇を設置して、空気の入れ替えを行なう方法です。
機械制御による効率的な換気ができるので、24時間換気システムの中で最も空気の流れをコントロールしやすくなっています。
さらに、第1種換気なら「熱交換システム」が使用可能です。
室内外で温度差がある場合、室温に合わせて変換しながら外気を取り込めるので、空調効率を下げることなく給排気できます。
とくに真夏や真冬など温度差が生じやすい時期は、非常に有用でしょう。
ただし、第1種換気は給気口・排気口ともに機械設備を用いるため、設置費用や電気代が高くなりがちです。
また、メンテナンスの手間がかかりやすいというデメリットもあります。
●第2種換気
第2種換気とは、給気口のみ換気扇を設置して、空気の入れ替えを行なう方法です。
排気口は機械設備なしの自然換気になるので、空気を取り込む力のほうが強くなります。
それにともない、室内の気圧が高い「正圧状態」を保つことができるのです。
正圧状態になると、室内の古い空気が新しい空気に押し出されて常時排出されるので、窓やドアを開閉しても汚染物質や菌が入りにくくなります。
衛生的に優れた環境をつくり、維持しやすいため、クリーンルームや食品工場などでよく採用されている方法です。
一方、第2種換気は排気の力が弱い分、室内に湿気がたまりやすいというデメリットもあります。結露も発生しやすいため、一般的な住宅ではあまり採用されていません。
●第3種換気
第3種排気とは、排気口のみ換気扇を設置して、空気の入れ替えを行なう方法です。
給気口は機械設備なしの自然換気になるので、第2種換気の真逆といえます。
他の方法と違い、こちらはすべての部屋に給気口を設置しなければならないことが特徴的です。
第3種換気の場合、空気を排出する力のほうが強いので、室内の気圧が低い「負圧状態」となります。
負圧状態によって湿気がたまりにくい、第1種換気より導入コストを抑えられるといったメリットから、住宅で多く採用されている方法です。
一方、デメリットとしては汚染物質や菌が入りやすいこと、外気温に影響されやすいことが挙げられます。
ただし、後者に関してはそれほど気にならないという方も多いようです。
24時間換気はうるさい?気になる音や寒さの問題

24時間換気システムは基本的に常時稼働しているので、換気扇などの音が気になってしまう可能性があります。
さらに、換気システムの種類によっては花粉やPM2.5などの汚染物質が入ってきたり、結露からカビが発生したりすることも考えられるでしょう。
これらの問題は防音材やフィルターを使用する、運転を一時的に止めるといった対策を講じれば、解消あるいは緩和できます。
また、給気口の近くは外気温とあまり温度が変わらないため、時期によっては暑さや寒さを感じるかもしれません。
第1種換気の熱交換システムを使えば、排出する空気の「熱」を給気する空気に移して、室内外の温度差を減らすことができます。
結果として室内の快適性を保てるので、こちらの対策も押さえておきましょう。