和室の名称と基礎知識

日本で歴史のある和室について実は様々な名称があります。
歴史がある以上何か理由があって日本の住宅に根付いたものです。
この歴史を知ることで新築の家のアイデアが出てくるかと思います。
その名称を知ってより良い家のイメージを固めていきましょう。
フローリングの普及に押されて、一時期は存在の危機にさらされてきた和室ですが、ここへきて再度注目されてきました。ゆったりとごろ寝したり、日本家屋の風情を取り込んだりと、洋室にはないリラックス効果が見直されてきているからです。
そこで、和室の基礎知識や名称、和室のメリットとデメリット、洋室と上手に組み合わせておしゃれな和室をつくるコツなどを解説します。

和室の基礎知識と名称
和室=畳のある部屋、と考えている方も多いかもしれません。ですが、和室は日本の伝統的な様式の部屋のことですので実際には畳の他にも様々な構成要素があります。
和室の名称
・床の間
掛け軸や花・置物などを置く、座敷飾りのひとつです。全体の印象を左右するため座敷の顔と言われます。床の間には「床柱」と呼ばれる化粧柱があり、この床柱にどのような木材を使うかも和室の印象が大きく変わるポイントです。
・鴨居/敷居
障子や襖などの建具の上に造られる横木です。上部にあるのが鴨居、下部にあるのが敷居となっており、障子や襖をはめ込む溝が入っています。
・欄間
長押や鴨居の上に設置されます。透かしや格子彫りの装飾板をはめ込み空間を緩やかに仕切り、通風や採光を兼ねた装飾です。
上記のほかに、襖や障子が使われているのも和室ならではの特徴です。障子は空間を仕切りながらも光が透けるため、部屋全体を明るくしてくれます。また、襖や障子はスライドで開閉するため、ドア周辺のスペースを有効に使うことができるのも洋室にはないポイントですね。
和室の名称:縁側とは
縁側は天気のよい日は軒先で日なたぼっこをしたり、庭の景色を眺めながらお茶を楽しんだりなど、日本では古くから団らんや憩いの場として親しまれています。玄関付近に縁側がある住まいの場合には、ベンチのように座って会話をしたり、来客スペースとして近所の人たちとの気軽なコミュニケーションスペースとして大活躍します。
また、縁側と庭を使ってバーベキューや焼き芋をしたり、猫や犬などのペットと触れ合ったり、気分転換にからだを動かしたり、子どもにとっては格好の遊び場になります。さらに春は縁側から庭の花や木々を眺めたり、夏は縁側に座って花火で遊んだりするのもいいでしょう。秋のお月見や冬の雪見など、縁側は庭を眺めるのにちょうどいい場所であり、風を感じて四季を楽しむのにぴったりなスペースです。
ほかにも梅雨の時期や雨風の強い日には、洗濯物を干すのに大変便利です。外に干すのと違って、外出時に急に雨に降られても濡れる心配がありません。洗濯を干して障子を閉めれば、外部からの目隠しもでき、急な来客対応にも最適です。
このように便利で使い勝手のいい縁側は、コミュニケーションスペースをはじめ、あらゆる活用が期待できる場所なのです。

縁側を設置する欠点は?
縁側を設置するには十分なスペースが求められ、縁側に合った広めの庭をつくるとなるとさらに土地が必要になります。そのため、縁側を設置するにはある程度の土地が必要であり、土地代や固定資産税などのコストがかかります。
庭を眺められるように縁側を設置した場合、庭の定期的な手入れが必要です。せっかく縁側から庭の風景を眺めても、庭の草木が生い茂って荒れ放題になっていたり、逆に枯れ果てていたりしたらよさが半減してしまいます。ガーデニングなどが趣味ならいいですが、草木は定期的な手入れが必要なため、手間や費用がかかることをあらかじめ頭に入れておきましょう。
縁側は部屋と庭をつなぐ空間であり、近所とのコミュニケーションスペースとして使いやすい場所です。しかし、その分、防犯面がおろそかになってしまうことも。そのため、縁側をつくる際には、防犯やプライバシー保護の面から道路や近隣から内部の生活や暮らしがさらされないように壁をつくったり、設置する場所を工夫したり、防犯対策のされた窓やドアを使用するなど、十分な対策が必要です。
和室の名称:長押とは
住宅の座敷において、鴨居(かもい)上部四周に取り付けられる化粧材で、「内法(うちのり)長押」を指すことが一般的です。長押を設置する場所でいくつかの名称があり、柱の最下部の「地獄長押」、窓下の「腰長押」、天井と内法材との間に取り付ける「蟻壁(ありかべ)長押」、天井廻り縁の壁の下に付ける「天井長押」などがあります。
一般の木造住宅では、和室の減少とともに伝統的な長押の出番は非常に少なくなっていますが、社寺建築、歴史的建造物の改修などでは今も大型の長押が使われます。現在進められている東北地区の歴史的建造物の城門改修では、栗の5㍍長、40×20㌢(粗挽き)長押が使われるそうです。
※長押蓋(なげしぶた)
台形に長押挽きされた内法長押の上部と壁仕上げとの間にできた隙間をふさぐために、長押上部内側にはめられる小板です。
※長押挽き(なげしびき)
製品が台形になるよう製材することで、放射状に木取りすると製材効率がよく、柾目材をとりやすいといわれます。
和室について注意しておきたいデメリット
市松模様に敷かれた琉球畳がスタイリッシュな和室
和室の床部分は畳です。畳は傷がつきやすく、時としてカビ・ダニの温床となることがあります。高温多湿な日本の気候では神経を使わなければならない部屋となってしまうこともあるのです。
また、和室にしつらえる建具(ふすま・障子)は和紙で作られていますので、定期的に張り替えなければなりません。特に小さなお子さんがいらっしゃるご家庭なら、破られてしまった障子の手入れはとても面倒な作業になるでしょう。
親御さん用の部屋として和室をつくっても、将来的に布団ではなくベッドでの生活が楽になったとき、和室から洋室へのリフォームが必要になることも考えられます。
